不動産業界の人材不足問題が解消されない理由

不動産業界を含め、さまざまな業界で人材活確保が難しくなっている昨今において、人手不足になってしまう原因は様々です。
まずは現状を知り、根本から解消していくことが重要です。
不動産業界で人材が不足する背景や具体的な解決策を紹介していきます。
 

少子高齢化の影響で人材が減少している

現在の人手不足の主な原因は、国内で進行中の少子高齢化現象です。
厚生労働省のデータによれば、2020年時点での20～64歳の労働人口比率は全体の55％に低下しています。1990年には62％でしたが、今後も減少傾向が続き、2040年には50％まで低下する見込みです。

また、働き方改革の進展も人手不足の一因となっています。多様な労働スタイルが普及し、雇用者も生涯一社で働くという概念が変わりつつあります。個々の労働者が理想的な働き方を求め、そのために転職を選択する例が増えています。

これらの要因により、労働者の数が減少している一方で、人材の動きが活発になっています。
その結果、不動産業界を含む様々な分野で人手不足が深刻化しています。

 

不動産業は法人数が増加している

2022年に不動産流通推進センターが公表した「不動産業統計集」によれば、2001年から2020年までの間、不動産業の法人数は持続的に増加しています。具体的には、2001年に比べて2020年時点で8万以上も法人数が増え、業界全体の競争率が急激に高まっています。

不動産業は、開業のハードルが比較的低く、他の産業に比べて参入が容易な業界の一つです。このため、市場での競争が激しくなり、企業が人材不足に悩まされています。競争が激化する中で、ますます多くの法人が人材を求め、そのため人手不足が続いている状況です。

 

業務負担が大きい印象がある

不動産売買や仲介において、中心的な業務は営業職ですが、世間においてはその難易度の高さから厳しいイメージが広がっています。高額な不動産取引に伴うインセンティブの魅力に反して、契約までの過程は複雑であり、営業スタッフは様々なハードルに直面します。

たとえば、クライアントの都合に合わせた商談の調整や、繰り返しのアプローチが必要なことから、業務時間と量が増加しやすいです。また、飛び込み訪問などの積極的なアプローチは、経験の浅い者にとっては少し敷居が高いスタイルとなります。

これに加え、未経験者から見ると営業がやや難しそうに映り、求人への応募が控えめになることもあります。営業に慣れていない者にとって、不動産営業はある意味でハードモードであると感じられ、これが応募者の減少につながることが少なくありません。

 

不動産業界で人材を確保する為の解決策

それでは不動産業界において人材を集めるために、今後はどのような対策に力を入れていくべきなのか、以下からは具体的な解消法を紹介していきます。
 

ITシステム導入による業務の効率化

近年、不動産業向けには多くの業務支援システムが提供されており、これらのITツールを活用することで作業効率を大幅に向上させることが期待されます。

たとえば、顧客情報や賃貸物件データの管理、追客の分析、問い合わせ対応など、これらの業務をシステム化することで時間を節約できる事例が数多く存在します。自社のニーズや状況に合わせて、最適なITツールの導入を検討してみることが重要です。

 

労働環境の見直し

離職率の上昇や求人募集の難航が発生している場合、まずは労働環境を再評価することが肝要です。
特に歩合制度や給与形態など、従業員にとって生活に直結する賃金面に焦点を当て、
十分な検討を行うことが重要です。

良好な勤務条件の確立は、従業員のモチベーション向上や長期的な雇用関係の構築に寄与します。
従って、改善が見込まれる状況を整備することで、従業員の満足度や忠誠心が向上し、結果的には人材の定着が期待できます。

同時に、経営陣への信頼感も増すことで、職場の協力関係やチームワークが向上します。
労働環境の改善が進めば、これが人材採用のプラス要因となり、人手不足の緩和に寄与するでしょう。

 

自社の採用ページで戦略的なアピール

魅力的な採用ページを通じて、自社の強みや働きやすさを伝えることで、優秀な人材の注目を集めやすくなります。
採用ページを通じて伝える情報がポジティブで魅力的であれば、企業の信頼性が高まり、良い評判が広がる可能性があります。

また魅力的な採用ページは、現職場の雰囲気や社風、福利厚生などがわかりやすく伝わるため、
応募者が楽しみややりがいを感じやすくなります。
これにより、応募者のモチベーションが向上し、積極的な応募が期待できます。

 

まとめ

不動産業界もこの人口構造の変化や働き方の変革に対応しながら、
効果的な採用戦略や労働環境の整備が求められています。
柔軟性のある働き方やキャリア開発のサポートを提供することが、新たな人材を引きつける一因となります。

これらの解決策を組み合わせることで、不動産業界における人手不足の緩和が期待され、
業界全体が協力して新しい人材を育成し、働きやすい環境を整えることで、持続的な成長と発展が実現するでしょう。